「長く働く」ために現役世代が今、できること

端的に言うならば、「長く働く」ことです。年収そのものを上げようとするのではなく、長く働くことで生涯賃金を確保する作戦です。高齢化社会の問題の一つが「長生きリスク」です。本来、長寿は喜ばれるべきものですが、資金的なリスクを抱える面は否めません。寿命が延びた一方で、リタイアの年齢はほとんど延びていない。

このリスクを積極的に回避するのであれば、長く働くことを現役時代の今から視野に入れておくことです。老後のために500万円を貯めるのは大変ですが、通常のリタイア年齢以降も、年収100万円で5年間、年収60万円で8年半働くというのは不可能ではないのではないでしょうか。

そのためには何より、今もその時も健康であること。そして、自分を支えてくれる仲間や家族を大事にすること。さらに、現在の仕事のスキルをできるだけ伸ばすことなどが重要になってくるでしょう。

次に、支出の減らし方です。

支出をいかに減らすか、というと、「節約」が思い浮かびます。しかし、「節約疲れ」という言葉に象徴されるように、家計に前向きに取り組むイメージではありません。また、これからの負担増社会を考えると、ちょっとした節約では乗り切れない可能性があります。

ここは発想を大きく変える必要があります。つまり、何を買わないか(節約)ではなく、何を買うかということにフォーカスした支出にするのです。

入ってきたお金の行き先は結局、使うか貯めるか。正しい使い方なら、むしろ支出は絞られ、貯蓄につながります。大事なのは、その商品やサービスが自分の生活に本当に必要か、また、自分や家族を心から豊かにしてくれる支出かを見極めること。「正しい使い方」をすることに意識を集中させることが負担増社会を耐え抜くコツなのです。

これは逆に言えば、ムダ使いをなくすこと(節約)なのですが、手取り収入が減って、ただでさえ心理的に窮屈になりやすいときに、さらに「何を買わないようにしようか」と考えるのは、精神衛生上よくありません。かえって、ストレスがたまり浪費に走ってしまっては本末転倒もいいところです。

「家計管理」と「健康管理」はよく似ています。