しかし、一時的とはいえ40万円近い支払いは大変。そこで事前に加入している健康保険組合から「限度額適用認定証」を取り寄せておこう。窓口で提示するだけで8万9830円の支払いで済む。また直近の12カ月間に3回以上高額療養費の支給を受けたときは、その月の負担の上限額が一般で4万4400円、上位所得者で8万3400円に引き下げられること、同じ保険を使う家族の中で療養中の人がいれば合算して制度の適用を受けることができることも知っておきたい。

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高額療養費制度を利用すると…

高額療養費制度は患者にとってありがたい制度だが、窓口に支払うすべての費用に適用されるわけではない。医療ジャーナリストの田辺功さんによれば「入院時の食事代、差額ベッド代、先進医療代には適用されません。通院時の薬代、通院の交通費、病室に備え付けられた有料テレビ代も自己負担ですね」。また高額療養費の支給は月の初めから終わりまでの暦月単位で行われるため、「月をまたいで治療した場合の自己負担額の合算はできません」(田辺さん)。例えば9月中にすべての治療が終わって124万円請求されたのであれば窓口負担は8万9830円で済むが、同じ1カ月でも9月と10月にまたいで治療が行われ62万円ずつ請求された場合は、9月と10月に8万3630円ずつ払わなければならない。治療が長引けば高額療養費制度を利用したとしても負担は重くのしかかる。

手術後の身体機能回復の鍵を握るリハビリテーションの重要性も、もっと認識されるべきだと田辺さんはいう。「リハビリ設備や理学療法の専門家が不足していて遅れ気味です。評判のよいリハビリ施設ほど混雑していて1カ月待ちということもある。でも、それでは手遅れ。夫なり妻なりが倒れたときはリハビリまで想定して病院を決めるべきです」。