プラン提示は多いほどいいのか?

「『さあ、この3つのプランでいかがでしょうか』という人をよく見かける。なぜ、自分で決めて「このプランに自信があります」と、ひとつに絞れないのだろう」

先日、友人のLがニューヨークからやって来たので話をしていた。以前にもこの連載に登場した大手証券会社の世界の9割をまかされるマネージャーだ。最近は、自分がプレゼンを受けることも多くなり、こんな風に感じるようだ。それは私も耳が痛い“相手に選択の荷を負わせ、時間を浪費させること”だった。

たとえば2つのプランを提示するとしよう。これなら、1本のときよりもヒットする確率が高まるかもしれない。そして、3つのプランがあれば、およそすべてをカバーしてより確実な気がしてしまう。だから、複数のプランを用意してみる。ところが、今度は提示された側で“選択”を迫られることになるから、すべての資料に目を通して考えをめぐらせる時間が必要になる。

以前にも書かせていただいたが、「忙しい人にこそ、ポイントを突いたプレゼンを投げることが重要」だ。最たるところがエレベーターピッチであり、短時間で複数のプランを提示することなどありえないだろう。選択肢を増やしたことでポイントを突くことができなければ、時間を浪費するばかりでなく、結局は両者のニーズを満たせないかもしれない。相手に選択肢を与えればいいというものではないわけだ。

では、今度は視点をマーケットに移して顧客の前に選択肢を置いてみる。シーナ・アイエンガー教授が「豊富な選択肢は売り上げを伸ばす」というお店の方針を実証しようとした実験がある。その結果がおもしろいので見てみよう。