カタカナで箔づけ:まずは英語に置き換えてみる

お客様を見て言い方や言葉を変えることも心がけています。若者相手なら「ハンガー」、おじいちゃんが相手なら「衣紋掛け」という具合に。

しゃべりで勝負する人は言葉を大切にして、ボキャブラリーを増やしていかねばなりません。お客様に届くキャッチコピーやキャッチフレーズをどうつくっていくか。引き出しをたくさん持てば、どんなお客様、どんな状況にも対応できるようになります。

ボキャブラリーを増やす1つの方法は、英語に置き換えてみることです。僕は商材である高機能のハンガーをこんなふうに説明します。「世の中にハンガーは溢れかえっていますけど、このハンガーは『ハイブリッド』なんですよ。そこらで売っているハンガーが軽自動車なら、このハンガーはプリウスです!」

こういう言葉を入れていくとイメージが湧きやすくなるし、カタカナによって箔がつくような印象も与えます。

最後は「黙り込んでシメる」:嫌味なくお客様の肩をポンと押す方法

しゃべりはうまい。見せ方も上手。お客様もほーっと感心している。ところが肝心の売り上げはいまひとつ、という人がいます。その原因はクロージングが下手であることに尽きます。

クロージングはお客様にご覧いただいたデモンストレーション(実演)の集大成です。「気に入ったし使ってみようかな」と思っているお客様の肩をポンと押してあげる一言が必要なのです。

「いかがですか? 素晴らしい商品です。ぜひお試しください!」

こういう言い方をすれば「買って」という言葉は入ってないので嫌味もありません(笑)。さらに究極的なクロージングの方法があります。それはすべてのプレゼンテーションを終えた後、ピタっと黙り込んでシメること。特に僕のようなおしゃべりな人間が黙ると、非常に効果的なクロージングになります。黙る理由は、お客様に考える時間を与えるためです。これは特に高額商品の販売で有効なテクニックです。

マルリバティー代表取締役 
丸山 英樹

実演販売のプロ。1961年生まれ。94年より実演販売を開始。三越、高島屋、伊勢丹、東急ハンズなど全国百貨店を飛び回る。
(構成=宮内 健)
【関連記事】
売れる営業の「YES」を引き出す質問術
聞き手に“満足感を与える”訴求力
安倍首相に見るプレゼン上達の極意
カリスマ社長の「言葉・声・表情・しぐさ」を科学する
タモリ、黒柳徹子を人気司会者にした「整数次倍音」の秘密