もっとも幼い頃のクリスティアーノ・ロナウドも似たようなものだ。その頃の痕跡は今も、ボールをよこせ、オレが試合を決めてやる、というジェスチャーのなかに見ることができる。彼はマンチェスター・ユナイテッドでの1年目の頃と比べると、間違いなく大きく進化・成熟した。チームメイトとの連係もよくなり、守備に積極的に参加し、試合の流れを読む力も研ぎ澄まされてきている。だが根底にある個人主義的な性格は変わっていない。むしろ進んでいると言える。

さらに彼は肉体的にも恵まれており、エリートアスリートのみに与えられる筋肉がそなわっている。ウサイン・ボルト並みのスピードがあって両足を使えるうえに、フリーキックのときの強烈なキック力もある。加えてドライブがかかった彼の無回転シュートはゴールキーパーにとって厄介そのものだ。超一流のゴールハンターで常にさらなる高みを求めてハングリーであり、次の戦いに向けて闘志を燃やしている。

「クリスティアーノにとっては、ずっと続く勝利もなければ敗北もない。1試合終わったときに、またすべてが新しく始まるんだ」。そう断言するのはスポルティングでロナウドを指導したアウレリオ・ペレイラだ。「あいつは50%の集中力と、50%の練習やフットボール、プロ意識にかける情熱、の組み合わせでできあがっているのさ」

一方、元サントスコーチのムリシィ・ラマーリョはネイマールの最も優れた美徳についてこう断言する。「あいつは、あらゆる人の想像をはるかに超えたすごいことをやってのける力がある。これぞスーパースターの条件だ。誰も予測していなかったプレー、即興性、創意といったものを見せてくれる。

誰もがあいつはあちらの方向に進むと予測したときに、やつは正反対の方向に進むのさ。だからこそ、ネイマールは試合展開のカギとなる役割を果たしているんだ。ディフェンダーがネイマールは左側から回り込んで突破するだろうと身構えていたら、それを軽くかわしてしまう。あらゆる法則を無視して、誰にも突破できない困難な包囲網もかいくぐってしまう」

ブラジル人ミュージシャンのジョゼ・ミゲル・ウィスニクも合意する。「ネイマールには幅広いレパートリーが揃っていて、あらゆる人を驚かせ、創造的な動きをすることができる。いつも、誰も予測していなかったことをやって楽しませてくれる。

それと同時に、彼には大きな全体像というものも見えている。確信をもってパスを出し、確実にそれがフィニッシュにつながっていく。単なる見世物のドリブルではない。だから彼のスタイルは技術的にも洗練されていながら、相手にとっては破壊的でもあるんだよ」

※本連載は書籍『Who is the Best? メッシ、ロナウド、ネイマール。最高は誰だ?』(ルーカ・カイオーリ 著)からの抜粋です。

(写真=フォート・キシモト)
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