20年以上の歳月を経て、事件当事者が緻密かつ冷静に自分なりの真実を書きとめた本。著者は政官財の前途ある人々に公開前の子会社株を配ったという。官を巻き込んだことは遺憾だが、長く経済の現場を見てきた感覚からすると、それ以外は社会通念上許されないほどのものではない。何よりも有為の人材が辞任や逮捕に追い込まれたのが残念だ。

人間社会は完璧ではなく、ときに適法と違法とのはざまで物事が動く。違法行為は裁かれねばならないが、かといって本書に描かれるような乱暴な捜査が行われていいものか。国家の強権ぶりは戦前から何も変わっていない。若い世代のリーダーには、抑えた筆致の裏側にあるものを読み取ってほしい。