遺族厚生年金は旧態依然

亡くなった人が会社員の場合は、条件に合えば遺族基礎年金のほかにも遺族厚生年金を受け取れる。遺族厚生年金の額は勤務期間の年収などによりそれぞれ異なるが、35歳で年収400万円の会社員なら年間40万円強といったところ。ただし、受け取れる人の条件は、遺族基礎年金とかなり違っている。

<遺族厚生年金を受け取れる人>
・亡くなった人によって生計を維持されていた妻、子、孫
(子、孫の年齢条件、生計維持の条件は遺族基礎年金と同じ)
・亡くなった人によって生計を維持されていた55歳以上の夫、父母、祖父母(いずれも支給開始は60歳から)

ここで注意したいのは、夫に年齢制限がある点。妻が亡くなったときに55歳未満の夫は、遺族厚生年金を受け取れない。だだし、この場合でも対象年齢の子がいれば、その子が高校卒業の年齢になるまで遺族厚生年金を受け取れる。

また、遺族厚生年金は対象年齢の子がいない妻でも受け取れる(夫死亡時に30歳未満の妻は5年間のみ)。この点も、遺族基礎年金との違いだ。さらに、夫死亡時に40歳以上の妻や、子どもが高校を卒業して遺族基礎年金を受け取れなくなった妻は、「中高齢の加算額」として年額57万9700円を受け取れる制度もある(64歳まで)。こうしたメリットを受けられるのは妻のみで夫にはナシ。遺族厚生年金は、「夫が収入を得て妻が家庭を守る時代」の考え方をいまだに引きずっているイメージだ。

なお、遺族厚生年金は条件に合えば父母や祖父母が受け取ることもできる。古い家族制度の名残りという感もあるが、特に独身の人は頭に入れておきたい。