3年半ほぼ会社に泊まりこみ

思えば、それはテラモーターズの徳重(徹)社長にも似た魅力でした。僕はそういう人に惹かれてしまう性質なのか、徳重さんにも最初に会ったときはとにかく事業に対する執念深さを感じて。

渋谷の東急デパートの向かいにある貸オフィスで、なにがなんでもこの事業を成功させるんだ、といつまでも熱く語っている。アメリカに「ペイパルフマフィア」という言葉がありますが、同じように「テラマフィアをつくろうぜ」というノリにも惹かれました。

面接では僕の隣にもう一人、いまは同社のベトナムでの事業展開を担当している林信吾君がいて、彼はまだ学生でした。とにかく徳重さんは4時間くらい、そんな僕らに向かってぶっ通しで喋って、最後に「どうするの、やるの、やらないの」と選択を迫ってくるんです。聞いているうちに、面白そうだなと感じ始め、その事業に関わるという選択が自分の人生にとって最もエキサイティングだという気持ちにさせられるんです。

まあ、もちろん僕が溝口さんに会って一緒にこの事業をやろうと決めたのはそれだけではなく、テラモーターズで働いた3年間の経験がここでならかなり役に立てるはずだと考えたからでした。

僕はもともと大学卒業後に中古車販売のガリバーの子会社に入り、リーマンショックでその会社が債務超過になってしまったので、その後は親会社に転籍になって営業マンをしていました。ガリバーは2000人規模の会社なので、そう簡単には上のほうにはいけない。そんななかで、登録していたベンチャー系の人材紹介会社を通じて紹介されたのがテラモーターズでした。

テラモーターズが創業してからしばらくは、僕と徳重さんと林君の3人でピンからキリまで全部やりました、というしかないような日々を送りました。採用からPR、お客さんとの交渉、トラックに電動バイクを乗っけて販売店をひたすら回ること……。ジャパネットタカダの番組に出てテレビで電動バイクを売ってみたこともありました。ほとんど会社に泊まり込みでしたが、一日一日が本当に楽しかったですよ。

その3年半の体験の中でいちばん勉強になったのは、ベンチャー企業が何をトリガーにして成長してくのかを肌で感じられたことですね。どんな媒体がPRの企画を取り扱ってくれるか、それに出るとどれくらいの反響があって、どれくらい営業に役に立つか。営業でもどんなふうに人脈を辿って攻めていくと、成果が上がるのかが感覚的にわかってきたように思います。