産業機器としての開発思想は、設計そのものにも見て取れる。下の写真の住宅用、産業用のパワコンでは筐体をアルミダイキャストにより一体成型。内部の気密度を高めることで、砂や水などが入らないようにしているのだ。さらにSMAは、パワコン内で発生する熱の処理にも独自の技術を持つ。通常、パワコンは夏場などに内部に熱がこもると変換効率が下がってしまうため、冷却が必要だ。冷却装置の稼働には当然電力を使用するため、これが実質的な発電量のマイナスにつながる。しかしSMAの住宅用パワコンは、排熱を背後から逃がし外気温が50℃まで使用可能な設計。冷却装置が不要となり、余分な電力を使うこともない。

設計寿命は20年間
アフターサービスも万全

固定価格買取制度による売電を考えるとき、どの時点で投資を回収できるのか、収支のシミュレーションは必須だが、この際10年目を目途にパワコンの交換を織り込むのが一般的だ。パワコンの寿命を見込んで、計算するわけである。

この点でも、SMAの製品は優位性を誇っている。そもそも同社が設定している設計寿命は20年間。保証についても、オプションで20年間まで延長することができるので、ランニングコストを極力抑えた形で投資の回収を進めることが可能となる。住宅用でもメガソーラーでも、投資を回収した後の発電は、基本的に利益になるわけだから、装置の寿命は見逃せないポイントの一つだろう。

「加えて当社では、万一の際のアフターサービス、メンテナンスについても万全の体制を整えています。各種パーツも、国内の保管倉庫に常時在庫していますので修理、交換も短時間での対応が可能です。また、SMAジャパンの社員は全員日本人。コンサルティングからアフターサービスまで、コミュニケーション面でもご安心いただいています」

と言う川上氏。さらに今後は、日本が持つ高い科学技術力をドイツ本社の開発部門へとつなぐことで、パワコンのさらなる進化に貢献したいと抱負を語る。

「パワコンや太陽光発電システムの分野で、これから発生するであろうさまざまな問題に対し、先手を打って解決の道を探っていくことは専業メーカーの使命です。私たち日本法人としても、その役割の一端を担いたいと考えています」

太陽光発電システムの能力を引き出すのに欠かせない装置、パワコン──。その設置にあたっては、今後日本でも“選ぶ目”をしっかり養う必要がありそうだ。