いまさら聞けない!

再生可能エネルギーの固定価格買取制度
 制度スタートから丸2年近くになる「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」だが、その背景や目的を明快に説明できるだろうか。ここであらためて、基礎、基本をおさらいしておこう。

そもそも固定価格
買取制度とは?

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(feed-in tariff/FIT)とは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを使って発電された電気を、一定の期間、国が定めた価格で電力会社に買い取るよう義務づける制度。再生可能エネルギーの普及を促進する助成制度の一つで、主にドイツをはじめとするヨーロッパ諸国で実施され高い効果を上げている。

日本でも太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスで発電された電力を対象に、2012年7月から導入された。

なぜ、日本で
導入されたのか?

日本は世界第5位のエネルギー消費国でありながら、そのエネルギー源の大半を海外から輸入する石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料に頼っている。エネルギー自給率はわずか4%(原子力を除く。エネルギー白書2010)。中国、インドなど世界各国のエネルギー需要も増大し、化石燃料の使用が地球温暖化へ与える影響も懸念されるなかで、化石燃料に代わるエネルギーが模索されてきた。

そこで注目を集めるようになったのが、再生可能エネルギーだ。日本は日射条件もよく、風力に恵まれた地形が多く、火山国ゆえ地熱量は世界第3位を誇るなど、再生可能エネルギーを活用する条件に恵まれているが、コスト高もあって普及が進まなかった。年間の発電電力量のなかでも再生可能エネルギーによるものは1.6%(大型ダムを除く)にとどまっており、これを拡大する切り札として、固定価格買取制度が導入されることになった。

具体的な仕組みと
メリットは?

電力会社に一定期間、電力の定額買取を義務づけることで、太陽光パネルなど発電設備の設置にかかるコストを回収する見通しを立てやすくし、企業および個人の設備導入を促す。電力買取にかかる資金は、電気の使用量に応じて賦課金として電気料金に上乗せされる。現段階ではまだコストの高い再生可能エネルギーを使用者が買い支え、育てていくという仕組みだ。

再生可能エネルギーの利用が進むことでエネルギー自給率が向上し、化石燃料から出るCO2排出量も削減される。また、関連産業の成長や技術革新による国際競争力の強化も期待されている。

太陽光発電の
買取価格などは?

事前に国の設備認定を受け、電力会社との契約を結んだ上で発電設備を導入し、電気の買取がスタートする。原則として発電した電気すべてが買取の対象となるが、住宅用など10kW未満の太陽光発電の場合は、自宅で使用した後の余剰分が買取の対象となる。

買取価格は、設備導入コストなどに適正な利潤を加えた形で算出され、年度ごとに見直しが行われる。平成26年度(平成26年4月1日~平成27年3月31日)の価格は表のとおり。ただし見直しはその年の新規参入分が対象。導入済みのものについては、買取期間を通じ、導入時の買取価格が適用される。