中国リスクは騒ぎ過ぎ
今後も7%の高成長を維持

オーストラリア経済の中国依存度が高まれば、中国経済の悪影響を大きく受けてしまう。中国はシャドーバンキング(影の銀行)問題や不動産バブル懸念ほか、経済の失速がささやかれているが、オーストラリア経済は大丈夫なのだろうか?

「我々メルボルンにいる調査チームには15人のエコノミスト、アナリストがいますが、うち4人は中国語が堪能で、中国の動向を逐一チェックしています。確かに大きく落ち込む危機が発生した場合には、オーストラリア経済に大打撃となるでしょう。銀行としても中国経済失速シナリオのストレステストもしています。

しかしながら現状を見る限り、それほど大きな問題は発生しないと考えています。中国の経済成長率が10%から7%に下がったとメディアは騒ぎ立てますが、未だ7%もの成長率があることは特筆すべきことです。7%成長が続けば、3年1内に韓国一国分のGDPが創出されると考えれば、すさまじい数字です。

中国にはまだまだ発展していない地域も多く、これから成長が期待できるのびしろは十分あります。2014年は7.25%前後、2015年は7%前後の成長が続くと見ています。短期的に見ても長期的に見ても、中国経済を過度に悲観する必要はないと私は考えています。


2010年以前のデータはナショナルオーストラリア銀行(以下NAB)推定。
出所:CEIC, NAB Economics

「またオーストラリアは中国に限らず、日本をはじめ、他のアジアの国々とも経済的に密接なかかわりがあります。今もなお日本は重要な貿易相手国ですし、先日、日豪EPA(経済連携協定)が大筋合意されましたので、資源はもちろん、農産物などの輸出がこれまで以上に増えると考えています。その他、韓国やインドネシア、シンガポール、マレーシアなどとの経済的な関係性も深めており、中国以外のアジアとの取引も今後増えていくと思います」