中野家がまず実行すべきことは、夫婦の話し合いだ。家計の現状を直視して、教育や老後について共通の目的を持つことが改善の第一歩になる。そうすれば、夫婦のこづかいも自ずと減らせるはずだ。長男とも話し合い、毎月の教育費も見直したい。ねだられるままに渡していた臨時のこづかいなどは、ストップしたほうが本人のためにもなる。

「自己投資」と称して飲み歩く人は少なくないが、本当にそれがリターンとして戻ってくるのか考えてみたほうがいい。少なくとも投資で損してヤケ酒を飲むのは自己投資ではないはずだ。失ったお金を嘆いてみてもはじまらない。中野さんはすでに48歳。健康のためにも飲酒の機会を減らし、老後も視野に入れた堅実な資金づくりを始めたい。

ライフプランで教育費を計画

一方、夫婦の協力体制のもとに着々と貯金を増やしているのは富沢さん。長女と3歳違いの次女が生まれてから、教育費を意識してライフプランを話し合うようになった。3歳違いの姉妹は、上の子が高校入学のときは下の子が中学入学、というように進学する年が重なる。資金計画をしっかり立てないと、進学費用が足りなくなると考えたのだ。

富沢家では、手書きで家族のライフプラン表を作成している。B4判の紙に表をつくり、横軸に西暦、縦軸に家族の名前を書いて、たとえば長女は何年に中学入学、何年に高校入学、といったように予定を書き込む。こうすれば、いつまでにいくらお金が必要かが一目でわかる。富沢家ではマイホームを買うときも、この表を使って目標を決め、頭金を貯めた。

この表は、機会があるたびに家族全員で見るようにしている。家族で共通の目的を持つことで、子どもたちが無駄づかいしなくなる効果もあるようだ。富沢家の貯金額はすでに1000万円に近い。教育費のメドはついたので、次の目標は老後を見据えた住宅ローンの完済だ。

家族の仲がよく目標を共有していることは、貯金を順調に増やすための重要な条件といっていい。

●富沢家はここが優秀!

・ライフプラン表を作成し、長期的目線あり
・保障は最低限に抑え、割安な保険を選択
・住宅ローン借り換えで65歳前に完済メド

●中野家はここを改善!

・夫婦共通の目標を持って、こづかいを見直す
・子どもとも話し合って、教育費を見直す
・ムダな支出を洗い出し、全般的にカット

(編集・構成=有山典子)
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