ダイアログ・イン・ザ・ダーク

“Don't think, feel.”(考えるな、感じろ)

これはスタッフに向けてのシュルツさんの口癖です。第2回『感性を磨いていますか?』(http://president.jp/articles/-/12361)でお話ししたように、シュルツさんはサービスの場面において、時には論理よりも直感が大事なことがあると言います。

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」という、感性を磨くワークショップがあります。これは、光のない世界で、視覚以外の感覚を使い、日常生活のさまざまな内容を体験することにより、本来備わっている感覚を呼び覚ませるというもので、新しいアイデア、デザイン、コモディティを生み出すひとつの契機として、フォルクスワーゲンやBMWなどでも研修の導入実績があります。

ダイアログ・イン・ザ・ダークを、ご自身の体験をふまえて教えてくれたのは、文化庁の青柳正規長官です。

「漆黒の中、はじめのうちは足を踏み出すことがこわくて、ガイド役の全盲の方に『こちらですよ』と声をかけられようやく歩けるような状態でした。徐々に慣れてくると、ひとりでも歩けるようになっていきます。

途中、ビールやお茶を口にしましたが、これが、いつもの味とは全然違うのには驚きました。20分ほどで外に出ると、自分の五感がいままでとは違う鋭さを持っているように思え、いろいろなものをキャッチできるような気分になっていました」(青柳長官)