製品開発の基本姿勢は「健康」である

いずれの製品にも共通しているのは、健康を強く意識した製品であるということ。新規事業推進プロジェクトチームにおける製品開発の基本姿勢が「健康」であることがわかるだろう。

「シャープの特徴を最も発揮できる領域はどこか。それは健康分野である」と、田村氏は断言する。

そのチームが次の製品として開発に取り組んでいたのが、コーヒーメーカーだった。ジュースプレッソの技術を活用し、製品化できないかという観点から開発をスタートしていた。

だが、新規事業推進プロジェクトチームは大きな壁にぶつかっていた。

コーヒーに含まれる適度なカフェインが健康にもプラス効果を及ぼすことなど、コーヒーと健康の結びつきにはいくつかの成果があったが、ヘルシオという冠を付けてまで製品化するだけの特徴を打ち出せずにいたのだ。

しかも、コーヒーメーカー分野には数多くの電機メーカーが参入し、専業メーカーもある。さらに海外からの参入も激しい領域だ。紙フィルター方式やカプセル方式など様々なものが登場しており、ここに後発のシャープが参入して存在感を発揮できる余地は少ないとも思われた。

「コーヒーメーカーでは、健康を切り口にした製品化は難しいのではないか」

研究所でそんな議論をしていた時に、隣のシマに座っていたある研究員がこんなことをつぶやいた。

「お茶でやってみたらどう?」

その研究員はお茶に精通していたわけでなんでもない。まさに思いつきのひとことだった。コーヒーを片手に議論していた田村氏たちは、その言葉に飛びついた。

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