配属初日に電話とリストを渡され……

「自由だ！ やってやるぞ！」

今でもときどき思い出すのは、会社がスタートしたあの日のことですね。

2010年の10月1日に会社ができ、最初はDeNAに間借りさせてもらっていたオフィスを引っ越したのが10月18日。銀座の香蘭社ビルという場所でした。

当時、スタッフは10人ちょっとしかいなかったのに3、40人は入るオフィスを借りたものだから、部屋がガラーンとしているんですよ。そこに置いたホワイトボードに（社長の）飯尾（慶介）さんが「今日すべきこと」と書いて、最初の朝礼が始まったんです。

あのときの気持ちは忘れられないですね。もう不安で仕方ないんです。ホワイトボードもそれに書くマーカーも自分たちが買ってきたもので、もう仕事でわからないことがあっても社内の詳しい人に内線で聞くこともできないわけです。経理部も総務部もないわけですから。

ただ、その不安の中には何とも言えないワクワク感がありました。心細さを感じる一方で伸び伸びとした気持ちがあって、ただ、もう、なんというか、まさに自分たちの会社ができて「自由だ！ なんでもやってやるぞ！」みたいな雰囲気の中で、最初の一歩が踏み出されていくんです。これがベンチャー企業というものの一つの醍醐味なんだな、って実感しました。

みんなで確認し合ったのは、この会社を世の中に対して胸張って、社会に貢献している、世の中を良くしている、と言える会社に育てることでした。そのためにはまず働いているメンバーの一人ひとりが、楽しく働けなければならない。僕にとって「楽しく働く」というのは、自分たちが正しいと思っているミッションに対して、本当にそれを心から信じている仲間と一緒に働くということです。だからこそ、今後も会社のその理念を馬鹿正直なくらいに貫いていきたいですね。