これからのマンションに
求められる省エネ性能

かつてのマンションの販売センターでは、構造や耐震性などは隅のほうで申し訳程度に掲示されていましたが、東日本大震災を経て、かなり重要視されるようになりました。各デベロッパーの対応にも、目を見張るものがあります。販売センター内で大きなスペースを割いて、地盤の状況とそれへの万全の対応をアピールし、営業担当者もより詳細に説明するようになりました。

さらに、これから最も重視すべきポイントは「省エネ性能」です。いま世界的な建築の流れは、住宅、オフィスビルを問わず「エネルギーをどれだけ使わないか」という方向にあります。国家戦略的にもエネルギーを可能な限り使わないようにしようという流れで、ヨーロッパが先進的に取り組んでいます。

マンションは光熱費など、購入後のランニングコストが、イニシャルコストの2~3倍はかかります。そして、省エネ性能の高い住宅のほうがコンクリートは傷まず、長持ちします。

業界では、今年度を「高性能サッシ元年」と呼んでいるのをご存じでしょうか。私は先月ドイツに行ってきたのですが、向こうでは最新のものは「4重サッシ」になっていて、サッシのほうが壁よりも省エネ性能が高いというレベルにまで達しています。日本でも主要メーカーが数年前から高性能サッシの開発に取り組んでおり、今年以降、省エネ性能の高い新商品が続々と発表される予定で、楽しみです。

加えて、日本でも2020年には建物自体の省エネ性能表示が義務化される予定です。まだ基準など具体的には決められていませんが、欧州の例を挙げれば、省エネ性能をランク付けし、ランクに応じた金利優遇や補助金制度などが導入されています。つまり購入者サイドから見れば、省エネ性能が高いほど買いやすく、売主サイドにとっても高く売れるということになります。

まずは徹底してエネルギーを使わないことに取り組み、その上でエネルギーを創る──「省エネ」と「創エネ」を組み合わせることが、世界の潮流になっています。

ここで最後にプレミアムマンションの条件を簡単にまとめておきましょう。「誰もが知る立地」で「駅7分以内」、「耐震性能」とともに今後は「省エネ性能」が求められる。これに該当する物件だけが、資産価値上昇の余地があるといえると思います。

(松本 聡=構成 田里弐裸衣=撮影(人物))