海外赴任する行員が出世するわけではない

戸田氏の同期150人ほどの「出世」の状況を聞くと、中堅の私立や国立大学出身者が執行役員になっていた。旧帝大出身者が、それよりも遅れているケースも多い。

40代で辞めていく人が増え、50代になると、多くは退職している。ユニークなところとしては、北海道大学を卒業し、入行数年以内で辞めて、今は大学教授をしている人もいた。

戸田氏は、海外勤務の経験が長い。エリートコースにみえるが、そうではないと答える。

「20代の頃から、人事の査定評価を毎年受けます。その都度、結果を知りますが、しだいに出世グループから遅れてきていることがわかります。ニューヨークのときは、信託の子会社に勤務しています。海外赴任するすべての行員がそのコースに乗っているとはいえないと思います」

新卒で入行し、7~8年目に「第1次選抜」と呼ばれるセレクトがあったという。この時点で、支店長代理(部長代理)にいち早くなる人が現れる。出世をマラソンに置き換えると、「先頭集団」といえる。

戸田氏は、その集団に入ることはできなかった。

「半年後に、部長代理になった。いったんついた差を埋めることは難しいかもしれませんね。同期の中には支店長とぶつかり、一時は干されていましたが、今は独立し、コンサルタントとして活躍する者もいます」

戸田氏が在籍していた1980~90年代は、典型的なエリートコースとして、まずは支店長になり、本店の部長や本部長、役員になるものがあった。もう1つのエリートコースは、営業で頭角を現し、支店長になるというもの。通常は、このコースは支店長以上になることは難しい。少数だが、役員になった者もいるという。