米国産のマッチョな商品が「コストコ主婦」に刺さった

弁当の添え物から、夕食のメインに。「プチ贅沢」が売りの輸入ソーセージが、日本の食卓を変えつつある。アメリカ中西部に本社のあるジョンソンヴィルは、従業員数1400人のソーセージ専業メーカー。全米で約16%のシェアをもち、主にバーベキュー用としてマッチョな男性に支持されている。ところが2002年に進出した日本では、07年ごろから主婦を中心に女性の間でブームになり、この6年間で売り上げは8倍に拡大。創業家の3代目で、本社副社長のマイケル・ステイヤー氏(以下、MS)に聞いた。
ジョンソンヴィル・ソーセージLLC 副社長 マイケル・ステイヤー氏
――ブームをどう分析していますか。

【MS】アメリカには週末に野外でバーベキューをする習慣があります。当社のソーセージは、そうしたシーンで、ビールと一緒に豪快に食べる、という男性的なイメージが強い。ところが日本では、輸入食材を扱う「コストコ」や「カルディ」といった店舗を愛用する女性の間でクチコミが広がったので驚きました。

――主婦向けの雑誌では「ママ会」の定番メニューとして度々紹介されました。

【MS】6本720円という価格から、「プチ贅沢」な食材として受け入れられたのです。目からウロコが落ちました。ソーセージの利点は、調理が簡単なことで、だから米国では男性に重宝されています。一方、日本ではそのメリットが忙しい女性から評価されることになりました。

――どこに競争力があるのでしょうか。

【MS】おいしさには絶対の自信があります。当社のソーセージには、新鮮な生の豚挽き肉だけを使用しています。これは食肉処理から製品の製造までを、米国の自社工場で一貫して行っているからできることです。品質に妥協はありません。

――日本には多数の食肉加工メーカーがありますが、今後も成長できますか。

【MS】日本のメーカーはすばらしい技術をもっています。ソーセージの品質も、とても高い。我々は10年からプリマハムと提携していますから、よくわかっています。ただし日本でのソーセージは、主に弁当のおかずや朝食の添え物として食べられていて、まだメインディッシュにはなっていません。我々は日本に「メインとして食べられるソーセージ」という新しい市場をつくりたいと考えています。だから日本のメーカーとは棲み分けができると思います。