SNSの口コミが「評判」を形成している

ツイッターやフェイスブックをはじめとするSNSの普及により、お客様の生の声、口コミがマーケットを大きく左右するようになっています。

「スタッフがとても親切で、滞在中ずっと穏やかな気持ちでいられた」
「オーダーしてから、前菜が出てくるまでに45分待たされた」
「隣の部屋の音が一晩中うるさくて、よく眠れなかった」

このような、サービスの受け手の実体験に基づく情報を、サービスを提供する側の発信する広告宣伝情報よりも信憑性が高いと考える人が増えています。

「ここは多くの人がプラスの評価をしているから安心だ」「ここは評価が低いから避けよう」というように、口コミが購入の際の選択材料となっているのです。

これを裏付けるデータがあります。月間2.6億人が訪れ、口コミ総数1.5億件を超える世界最大規模の旅行情報サイト、トリップアドバイザーのユーザー1万2255人(うち日本人660人)を対象に、アメリカのマーケティング会社、フォーカスサイトが昨年末行った調査において、「ホテルなど旅行の予約を確定する前に53%が口コミをチェックする」「宿泊先を探す際、80%が少なくとも6~12件の口コミを参考にする」という結果が明らかになりました。

「私たちのホテルにおいても、トリップアドバイザーをはじめ、口コミの影響を無視できなくなっています」とシュルツさんは言います。口コミがお客様の購買要因として影響を持つことに加え、消費者から見たブランド価値、すなわち「評判」を形成しているからです。

評判を形成するのは、サービスの利用者からの1つひとつの口コミです。彼らはどのような目的でそうしたコメントを書くのでしょうか。たとえばトリップアドバイザーは、以下のような要因があると考えています。

「トリップアドバイザーにユーザーが口コミを書くモチベーションのひとつは、『泊まってお世話になったホテルに感謝を伝えたい』ということ。『自分が泊まったホテルのランキングが上がると嬉しい』という声も聞かれます」(トリップアドバイザー・原田静織社長)

トリップアドバイザーの宿泊先へのユーザー評価は、5点満点のうち、平均4.12点と高いのが特徴です。口コミを書くことで、楽しかったホテル体験を思い起こし、そこに愛着が生まれます。それがリピーターへ、さらにはロイヤリティ醸成へとつながっていくのです。