日本はできる若手を腐らせている

ただ、日本ではアメリカと比べてベンチャー企業の数、それぞれの企業同士のネットワークがまだまだ足りないんです。ベンチャー企業のネットワークがしっかりつくられていると、それがセーフティネットになって、たとえ事業に失敗しても優秀な人材は企業を渡り歩きやすい。失敗を恐れずにベンチャーの世界に飛び込める土壌になるんです。

いまの日本の状況は、若くて優秀な人材を腐らせてしまっているところがあります。一つの企業の中で本当に重要な仕事を任される人材の割合は、組織が大きければ大きいほど少なくなります。すると、本来はポテンシャルの高い若者の多くが、企業内の競争の中で面白くない仕事に就くことになって、能力を使い切ることができずに腐っていってしまう。

そうした日本企業の現状を嘆き、外資系企業を選ぶ学生もいます。でも、よく考えてほしい。日本経済の世界における存在感は、バブル崩壊以降どんどん薄まっています。いま外資系企業の日本支社に入るということは、日本企業に入社して埼玉支店に配属されるようなもんですよ。

優秀な若者たちの1割でも2割でもいい。彼らが成長過程にあるベンチャー企業に飛び込んで能力を存分に発揮し、成長していくことが、日本の活力につながっていくと僕は思う。その受け皿になるようなベンチャー企業が、100社でも200社でも誕生していけばいい。僕らの会社もその一つでありたいと思っています。

テラモーターズ:電動バイクの製造、開発、設計を手掛ける。国内シェアトップ。現在、ベトナム、フィリピンに支社を持つほか、中国、インド、アフリカなど、海外市場の開拓を進めている。社員数16人。
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