日本産の野菜、果物に飛びつくのは日本人だけではない。香港には翌日到着も可能になった。輸出先進企業の取り組みから、明るい未来が見えてきた!
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農水産物の輸出実績品目別トップ20/国・地域別輸出実績トップ20カ国(2012年)

日本の農家が心配だ。「TPPで外国産の激安農作物が入ってくると農家が全滅する!」と農協などは主張している。確かに影響は大きいだろう。いまでも、値段が倍以上も違う青森産と中国産のにんにくがスーパーに並んでいると、つい中国産に手を伸ばす自分がいる。

ただし、青森産のにんにくが価格競争に負けて絶滅したという話は聞かない。中所得層や小さな子どもがいる家庭では、ネットスーパーや直販農家なども利用して国産野菜を選んでいる。高品質なものを安定供給できれば、国産の農作物への根強い需要はあるのだ。

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食料自給率

外食産業にもハンバーガーなどの外資系企業は少なくないが、日本の飲食店が駆逐されたわけではない。吉野家や大戸屋、一風堂などはチェーン展開をし、海外進出もしている。日本のコンビニもアジアで快進撃を続けている。農水産物という素材も含めた「日本食」は、もはや保護の必要がないほど国際競争力があるのかもしれない。

調べてみると、すでにアジアを中心に輸出をする元気な農家や企業が見つかった。成功のポイントは、価格や品質より売り方や物流にあるようだ。

では、最初の一歩はどのように踏み出せばいいのだろう。「野菜の出来には自信があるけれど、海外進出なんて考えられない。自分は英語が苦手だし……」という農家に代わり、さまざまな輸出方法を聞いて回ることにした。