非エリートが一生浮かばれない仕組みは、今も同じか

問題は、この兵学校出の秀才が戦場ではまったく役に立たなかったことだ。作戦というにも値しない愚かな戦争ばかり繰り返し、国を滅ぼした。秀才だったはずの幹部はなぜ無能だったのか? 彼らはペーパーテストに強かっただけで、知識があっても知恵がなかった。

軍人の給与表は、見た目だけで判断すると、選抜能力主義の形式を整えているように見える。だが、その内容は差別的で、どんなコースで採用されたかによって身分が生涯固定化されてしまう。日本軍の敗北は、人事制度にも原因があったことは明らかだ。

残念なことに、この人事制度は今でも役所や企業で生きている。とりわけ大企業の就活においては、出身大学によってエントリーさえできず門前払いをくらう学生が多数おり、また成果能力主義を導入しているといっても学歴が出世に大きく関わる企業が多いのが現実だ。企業内でも、ペーパーテストが強いだけで知恵のない者がトップに立てば、いずれ組織は滅びる。硬直的な人事制度がヒトを活かすことはできないのだ。