よく言われるのが、「会議で発言がゼロの人はバリューもゼロ」ということ。ひとことも話さなければ、その人がいてもいなくても会議の結論は同じであり、その人の付加価値はゼロです。会議に参加して「勉強になった」などと満足していることは許されません。会議に出る、資料を読む、メールを書く……。何をするにしても「いま自分のやっている仕事は、どのような価値を生むのか」、1時間単位で意識させることで、「成果にこだわる」というリーダーの基本姿勢が身につくのです。

さらに、よく言われるのが「ポジションをとれ」という言葉です。「あなたの意見は何か」ということを、あらゆる場面で問われます。会議で分析結果を細かく説明しようとすると、途中で遮られ「で?」とか「So What?」と冷たく問い質されます。「まず自分の意見を言え、分析の結果はその後に述べよ」ということです。これはリーダーの最も重要な仕事である「決断すること」の実地訓練です。

「われわれの職業で多数決は自殺行為」

もうひとつ、入社1年目に経験した印象深い「カルチャーショック」があります。週末にリゾートで研修旅行が行われました。夕方、研修プログラムは終わったものの、まだ仕事の議論を続けたい人と、時間だから食堂に移ろうとする人に意見が分かれてしまった。私はその旅行の企画担当だったので、「議論するか、夕食にするか、多数決で決めましょう」と提案しました。すると後になってシニアパートナーから烈火のごとく怒られたのです。

「多数決だって? そんな方法で意思決定するのは、事実と論理で決断する職業の者にとって自殺行為だ。君はクライアントの役員会でも事業方針を多数決で決めましょうと提案するのか?」