前立腺がん、腎臓がんなどの手術をする泌尿器科では、支援ロボットを使った手術がすでに普及しつつある。外科治療全般が、患者への負担を減らす方向へ進化しつつあり、メスで体を切り開かずに済む手術法の研究も進んでいる。医学の進歩に柔軟に対応し、チャンスがあれば手術に必要な器具の開発に携わってみたいというアグレッシブな子は外科医向きかもしれない。

ブラック・ジャックや『白い巨塔』の財前五郎は、型破りで自己顕示欲が強く、他人を寄せつけないタイプだが、現実の外科医はどうなのか。「手術はほかの外科医、麻酔科医、看護師などさまざまな職種とのチームワークが重要。それに、外科医も手術ばかりではなく、患者の診察や手術の説明も重要な仕事ですし、薬での治療も含めてすべて担当する場合もあります。ほかの科も同様ですが、外科の求人で採用のカギとなるのはコミュニケーション能力です」

医師の転職支援・求人紹介を行うニューハンプシャーMC医師専任シニアコンサルタントの中村正志氏は指摘する。

そういえば、天皇陛下の心臓手術の執刀医、順天堂大学医学部の天野篤教授、三笠宮さまの心臓弁膜症手術を行った関西医科大学の川副浩平特命教授もリーダーシップは強いが気さくな人柄だ。内科医の信頼が厚く、ほかの病院から患者が集まる外科医は、コツコツ症例を積み重ねて最高の結果を出そうとする職人気質の人も多い。

努力次第で名医にもなれるが、担当分野によっては緊急手術に呼ばれることも多く生活はハード。憧れだけでできる仕事ではないこともまた事実だ。ただ、若手外科医がやっていた事務仕事をほかの職種に任せたり、病院によっては外科に特別手当をつけたり、徐々に職場環境の改善は進みつつある。

「仕事は大変だけど、患者さんが喜ぶ顔を見ると疲れが吹き飛ぶ」と話す外科医は多く、やりがいは十分。「今後、待遇や職場環境の改善は必須だが、使命感を持った子にぜひ目指してほしい」と中村氏は話す。

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