専業主婦の不安と焦りを理解できるか

「家計が苦しいから働いてほしい」は絶対言ってはダメ!<br><strong>京都きもの友禅監査役 小川三穂子</strong>●結婚後は家事・育児に専念し、13年のブランクを経て再就職。パート社員として入社後、柏店店長、営業本部長、専務取締役などを経て現職。
「家計が苦しいから働いてほしい」は絶対言ってはダメ!
京都きもの友禅監査役 小川三穂子
結婚後は家事・育児に専念し、13年のブランクを経て再就職。パート社員として入社後、柏店店長、営業本部長、専務取締役などを経て現職。

妻を再び働かせるには、大前提として夫自身がいきいきと働くこと。夫が「仕事が面白くない」と毎日のように家に帰って愚痴をこぼしていたら、妻は外に出て働こうとは思いません。逆に、人や社会の役に立とうと意欲を持って仕事をしていたら、妻も自然に働きたい気持ちになるものです。

また、妻は妻で専業主婦のままでいいのかという焦りを少なからず持っています。働いていない自分に対して後ろめたさを覚え、「社会に役立つ自分でいたい」と、自治会やPTA、ボランティア等に参加する。家事や育児と両立しながらギリギリのところで自分を納得させて頑張っている人も多いのです。主婦仲間や友達もいるので寂しくはないけれども、何だかむなしい、そんな気持ちです。私も30代が終わりに近づく頃、社会に取り残されるのではないかという不安と焦燥感を抱くようになりました。

このような妻の心の揺れを見抜き、「子供も大きくなってきたし、何かやりがいのあることを探してみるといいかもしれないね」と切り出してみる。絶妙なタイミングでのひと言は妻の背中を後押しすることでしょう。このタイミングを見計らうには、日ごろから対話ができているかどうかがポイントになります。

もちろん、重要なのはタイミングだけではありません。次に考えたいのは妻にどのような言葉をかけるかです。

もし「家計が苦しいから働いてほしい」と切り出したなら、問答無用で「やだ」と言われるでしょう。なぜなら家計のことを一番理解しているのは遣り繰りしている妻のほうだからです。