日産の栃木工場はスカイライン、フーガといった大型車を生産する工場だ。そのなかで、市川裕通課長が率いる第二工務課は機械の点検、修理を担当している。24時間稼働する生産現場が遅滞なく進んでいくには、彼らのようなサポート部隊が必要なのだ。

「ブレーカーは右手で必ず上げる」などは周知の事実だそうだが忘れがち。繰り返して徹底するという。

「ブレーカーは右手で必ず上げる」などは周知の事実だそうだが忘れがち。繰り返して徹底するという。

朝礼は8時から始まる。5分前にはラジオ体操があり、体をほぐしてから朝礼に臨む。内容は6つに分かれている。体調確認、安全についてのスピーチ、連絡事項の通達、作業分担の説明、スケジュール確認、そして安全の唱和だ。特徴的なのが、体調確認とスピーチである。市川課長は言う。

「私たちの仕事は、ほかの生産現場へ出かけていって行います。時には高所に上ることもある。体調が悪いのを我慢して仕事をすれば事故につながりやすい。ですから、体調の確認はかなり丁寧にやります」

安全についてのスピーチは持ち回りで全員が行う。内容は日常生活で気がついた「ヒヤリ」体験を語ることだ。たとえば「車を運転していて横風で車がブレた。ひるがえって考えると、風の強い日の戸外作業は特に慎重を期したい」といった話を各人が語る。なぜ日常生活の「ヒヤリ」体験を語るのかという私の問いに対して、市川課長は次のように答えた。

「誰でも仕事のときは安全を心がけます。しかし、それでは万全ではない。日常生活でも安全について考えるようになると、それが習慣となります」

アルミ鋳造の現場、そして保全の現場を見学したが、どちらの作業場にも神棚があった。当番が毎日、神前に供えた水を替えているという。

「神棚に祈ると謙虚になります」

市川課長は言った。毎朝、神棚に手を合わせることで謙虚になれば安全意識も高まる。日産の工場では朝礼だけでなく、つねに安全作業を意識していることがうかがえる。

(松田健一=撮影)