車に自転車を積んで営業活動

入社10年目を迎えたころ、BCや販売店の方に商品知識や販売方法を指導する部署に移りました。学生時代に教師を志していたせいか、この仕事にもやりがいを覚えました。

販売の基本は、まず商品を好きになること。新商品にわからない点があれば、開発部門の方に納得できるまで説明を聞く。化粧品は自分の肌で効果を確かめる。つまり、お客様のことを思い、自分が納得し体感したことをお伝え出来れば、結果は後からついてくるのです。

入社19年目、同じ山形県内の子会社へ出向することになりました。当時立ち上がったばかりの高機能化粧品ブランド「ディシラ」の販売会社です。資生堂の名を一切出さないブランドだったので、当初は戸惑いもありました。

新ブランドの普及は想像以上に困難で、「自分は資生堂の看板で仕事してたんだ」と痛感しました。担当エリアは山形全域だったので、車で県内各地をまわり、近場は自転車でまわりました。

商品には自信がありましたので、病院など女性の多い職場を探してはサンプリング活動もしました。こうした活動が実を結び、「ディシラ」の取扱店は次第に増えました。県内7店舗でスタートしたのが、私の担当時代に35店舗まで増え、全国でもトップレベルの販売実績をあげることができました。

その後、山形、秋田、宮城を担当エリアとする営業部長を務めた後、宮城へ単身赴任して営業本部長になりますが、ここで思いがけない苦汁を舐めることになります。

伊田欣司=構成 向井 渉=撮影