仕事の大半がメールでやりとりされる昨今、短く感じのいいメールを書くことは重要なスキルのひとつ。達人たちによる、「最新メール作法」を場面別に紹介しよう。
アイ・コミュニケーション代表 
平野友朗 
1974年生まれ。広告代理店勤務を経て独立。ビジネスメールマナー推進協議会会長、メルマガコンサルタント。著書は『ビジネスメールの常識・非常識』ほか。

進捗を報告するメールで大事なことは何だろう。

「ぱっと見てすぐわかること。僕自身もそういう書き方をしています」

主に部下から報告を受ける立場のLINE・森川亮社長が指摘する。ビジネスメール講師の平野友朗氏も同じ意見だ。

「メールは『読むもの』というより『見るもの』です。本や雑誌のような印刷物ならしっかりと読むことができますが、メールはPCや携帯の画面で読みますから、1回スクロールするくらいで瞬時に目に飛び込んでくるようでないといけません。報告の場合、分量は短く、できれば個条書きを使うようにしたいですね」

森川氏は、さらに踏み込んで「文章にするよりも、事実、つまり単語や数字だけでメールを構成するほうがいいかもしれません」という。

「僕は理科系なのでついこんな連想をするのですが、プログラム言語や数式のように、簡潔な言葉で事実と事実をつないで見せるのが、いい報告メールだと思います」

森川流の報告メールについて、もう少し解説しよう。まず、意思決定を求める場合と、単なる情報共有の場合とで書き方は異なる。

意思決定を求めるときは、件名欄に「いつまでに決定してほしいか」ということを記入する。受け取った上司が「メールを受信した時点でTO・DOリストに書き入れる」(森川氏)かもしれないし、本文を開かなくても期限がわかれば便利である。また、送り手にとっても、うっかり読みとばされるリスクを減らすことができる。

一方、情報共有のメールは本文が簡潔で、過不足のない事実が盛り込まれていればそれでいい。

「売上高や販売件数といった実数と、目標に対する達成度。それだけあれば進捗報告としての用は足ります。予算と達成度にギャップがあれば、そのときだけ理由を書いてほしいですね」