2014年4月25日(金)

燗の適温がわかりません。何かコツってありますか?

dancyu 2012年4月号

文・山内史子 撮影・岡山寛司 教える人:多田正樹(神楽坂「ふしきの」)、渡辺 愛(銀座「佳肴 みを木」)

燗酒で感動したことがない、もしくは燗酒はいつも適当につくってるなぁ、という方にこそ試してほしいことがある。名人の燗を銘柄、手法までそっくり真似してしまうのだ。極上の燗酒なるものをちょっと味見してみようではないか。

左:「金松 白鷹」 右:「小鳥のさえずり」

「僕は熱めの燗が好き」という東京は神楽坂「ふしきの」の燗番・多田正樹さんが選んだのは、「金松 白鷹」。常温では均整の取れた味わいだったが、65℃まで上げ、最終的に50℃まで下げる技を駆使すると、豊醇な風味がふっくらと立ち、すうっと気持ちよく後味がきれた。その劇的な変化には、驚くはずだ。

一方で銀座「佳肴 みを木」の女将・渡辺愛さんは、「まあるい優しい味の燗が好みなんです」と。しっかりした骨格を感じる「小鳥のさえずり」は、42℃の燗にしたところ、ほんわりした旨さが膨らむ一杯に変わった。多田さんと違うのは水から燗をすること。ゆっくり加熱したほうが、やわらかに仕上がるという。ともに家庭にある小鍋と徳利で十分。ただし、ほんの数℃の差で味は異なるので、温度計は必ずご用意を。あとは手順をなぞり、きっちり温度を計りさえすれば最高の一杯が待っている。

お燗名人の技を完全再現。燗酒のおいしさを覚えよう!

旨味が鮮烈に立ち上がる「飛び切り燗
1.小鍋にたっぷり水を入れて加熱。沸騰したら火を止め、水を少々加えて70~80℃まで温度を下げる。
2.酒を入れた徳利をお湯につけ、温度計を見ながら65℃まで温める。酒は常温からのほうがやりやすい。
3.別の徳利に移し替えて、55℃まで温度を下げる。これで猪口に注ぎ、「飲む瞬間は50℃」を狙う。

多田正樹さんが選んだ「金松 白鷹」は、常温、冷酒の状態では感じられなかった味の膨らみが、温度を上げることで花開く。価格が手頃なので、初心者でも燗酒にトライしやすいのも魅力。

円を描くような優しさ「水から燗
1.水を張った小鍋に徳利を入れ、強火で加熱。水の量はたっぷりのほうが、温度をじわじわ上げられる。
2.最初はゆっくり温度が上がるが、40℃前後から急上昇するので、42℃の瞬間を逃さないように。

渡辺愛さんが選んだ「小鳥のさえずり」は、骨太な味わいで知られる、神亀酒造のラインナップの一つ「神亀 純米吟醸 小鳥のさえずり」。香り穏やかで、深い旨味がじわじわと感じられる奥ゆかしい一本。

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山内 史子