仕事の大半がメールでやりとりされる昨今、短く感じのいいメールを書くことは重要なスキルのひとつ。達人たちによる、「最新メール作法」を場面別に紹介しよう。
元外国人エグゼクティブ秘書 
能町光香 

青山学院大学卒業。外資系企業で多数の外国人エグゼクティブのバイリンガル秘書を務める。現在はビジネス書作家、講師。著書は『ニッポン女子力』ほか。

レポートにはたいてい提出期限がある。ただし、対象者全員が締め切りを守るとは限らない。期限を迎える前に、メールでそれとなく催促するにはどうするか。

「ひとつコツがあります。私は、リマインダー(催促)メールを多用していました」

よく通る声でこう話すのは、外資系企業の秘書として10人ものエグゼクティブに仕えた経験をもつ能町光香さんだ。

能町さんが心がけていたのが、規則的なリマインダーメールの発信である。たとえば、その部門のマネジャー以上全員にレポート提出が求められたとき。

「みんなに1カ月前、1週間前、5日前、3日前、当日に送るようにしていました。リマインダーメールをあまり送りすぎると相手に失礼じゃないかという人もいますけれど、そういう配慮の結果、期限に遅れてしまったらもっと困りますよね」

メールの内容は毎回同じ。何月何日までに、こういう内容のレポートを提出してください。繰り返しそれを発信する。

しかも、能町さんは「どんな小さな案件でも同じようにリマインドするようにしていた」という。そうすることで、受け手にとってもリマインダーメールが習慣化し、メールがきてもとくに責められているような気持ちにはならないのだ。

ただ、そんな能町さんも、期限当日のリマインダーを送るときは次のような配慮をしていたという。

「全員に送ってしまうと、すでに提出している人には嫌な顔をされますから、未提出者だけを選んで送信します。『すでに提出されている方もいらっしゃいますが』と但し書きをつけて一斉に送るというやり方もありますが、それよりも未提出者全員に『to』で送るほうが効果的です。誰と誰に送っているのかわかりますから、『これはやばい』と慌てるのだそうです(笑)」

さらに、奥の手もある。

「遅刻常習者の場合は『cc』にその人の上司のアドレスも入れておきます。当人は驚いて返信してくれますよ(笑)」