ハローワーク改革がミドル活性化のカギ

住宅をリフォームすると価値が高まり販売しやすくなるように、40代ミドルの労働移動でもリフォームにあたる工程が必要です。身に付けた経験や能力を棚卸しし、再度磨き上げ「こんな能力の持ち主です」と明確化することで、買い手が付きやすくなるわけです。

そこで必要になる1つの要素が教育訓練ですが、現在の公的職業訓練は有効に機能しているとは言えません。日本の場合、職業訓練は企業内で実施されるのが一般的なので、それを外部にくくり出すのが難しい事情もあります。

ところが、職業訓練のノウハウを持っている業界があります。それは「うちはこんな能力を持った人を派遣できます」というビジネスをしている人材派遣業界です。

一方、人と企業のマッチングを担っているのが民間の職業紹介事業者とハローワークです。しかし、民間の職業紹介は年収の何%かを成功報酬としているので、年収の高くない人を紹介するのは割に合いません。そのため、年収の高い人以外は紹介事業者のターゲットになりにくいのです。

そこで40代ミドルの労働移動を活性化するには、ハローワークの効率化や質の向上への取り組みが重要になってくるでしょう。

加えて、現在は別体系になっている労働者派遣事業と職業紹介事業の規制を整理し、統一化して総合的なサービスの提供を可能にしていく必要があると思います。

また、40代ミドルの労働移動を阻害する要因の1つに、情報の非対称性があります。要は実際に働いてもらわないとその人の評価を適切にできないため、「給与は前職の半分で」という結果になってしまうということです。

こうした事態を防ぐには、人材と企業をうまく結びつけるインターミディアリー(媒介)な役割を果たす人が必要になります。前出の大久保所長からは職業紹介のプロ「マッチング・アソシエイト」の資格制度を整えるという提案がありましたが、そうした企業と人材を結びつける専門職の育成も大事になってくると思います。