人生を変えた青いインプレッサ

では、なぜそのとき例外的にスバルを受けたかというと、車のことはほとんどわからなかったけれど、実はとても好きな車種が1つだけあったからなんです。

こちらでの生活には車が不可欠ですが、スバルの開発部門があるからでしょう、インプレッサWRXを他の場所よりよく見かけるように思います。私が学生だった頃、スバルはインプレッサWRXでWRC(世界ラリーチャンピオンシップ)に参戦していました。特に1997年には、3年連続のマニュファクチャーズタイトルを獲得するなど全盛期でした。

私はあの青いボディのインプレッサが走る姿がなぜかとても好きで、当時、軽自動車のヴィヴィオに乗りながら、街で見かける度にいつか乗ってみたいと憧れていたんです。

なので、実際に入社してしばらくお金を貯めてから、インプレッサWRXSTIを買っちゃいました。今でも乗る度に、なんて運転する楽しさに満ち溢れた車なんだろう、と思います。ドアを開けてシートに座ると、それだけでどこかに出かけたくなりますから(笑)。

実はこの車を買って以来、知人に誘われて那須にあるコースでダートトライアルをするようにもなったんです。夫もモータースポーツが大好きな人なので、一緒に車を直したりメンテナンスを勉強したり。その経験は車づくりに携わる上で、役に立っているとも感じています。

室井理恵(むろい・りえ)
1978年千葉県出身。群馬大学院を卒業後、2003年富士重工業に入社。スバル技術本部 材料研究部 材料研究第3課に配属。スバル車 内装の樹脂材料の新規開発などに携わる。2012年に1年間の育児休暇を取得後、担当となる。

稲泉 連=構成 平野 敦=撮影