田原総一朗が見た森川亮の素顔

LINEはスタートしてから約2年半で、利用者が3億7000万人を突破した。今や日本だけでなく、台湾、インドネシア、ブラジル、ロシアなど世界中で使われているという。もともとITサービスは当たると一気に広がるものだが、それにしてもLINEの成長スピードはすごい。まさに奇跡的な発展だ。

今回驚いたのは、LINEに広告はないということだ。ITにかぎらず、無料で使えるサービスに広告はつきものだ。ところが、森川さんは「企業が収益化を考えると、ユーザーはそれに気づいて離れていく。だからいま広告はやっていない」と言う。こうした姿勢がユーザーを惹きつけ、結果的に収益の増大につながっている。儲けようとしないほうが、かえって儲かる。それがいまのビジネスのトレンドなのだろう。

LINE社長 森川亮
1967年、神奈川県生まれ。89年に筑波大学卒業後、日本テレビに入社。99年、青山学院大学大学院国際政治経済学科でMBA取得。2000年、ソニー入社。03年、ハンゲームジャパン(現LINE)入社。07年、同社社長就任。11年、「LINE」をスタート。13年4月、ゲーム事業を分離し、社名をLINEに変更。同社社長に就任。
田原総一朗
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所、テレビ東京を経てフリーに。活字と放送の両メディアで評論活動を続けている。『塀の上を走れ』『人を惹きつける新しいリーダーの条件』など著書多数。
(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)
【関連記事】
儲けを追わずに儲けを出す秘密【1】 -対談:LINE社長 森川亮×田原総一朗
世界のユーザー2億人「LINE」の秘密
「アマゾン」の1人勝ちはなぜ起こるのか
流行りの「LINE」で電話代はいくら安くなるか
堀江貴文の「50万円あれば始められるビジネス」【1】