【田原】あっ、そうなんですか。広告で儲けてるのかと思ってた。

【森川】厳密に言うと、企業の方がユーザーの方とコミュニケーションをするツールとして「公式アカウント」というものがありまして、それは企業の方にお金をいただいています。ただ、ユーザーが登録しないとコミュニケーションがとれないし、企業から送るメッセージも月に2本とか1本という形になっています。つまり、ユーザーの人が見たくないものを見せられるということはないわけです。

【田原】そうすると、いま売り上げの内訳はどうなっているのですか。

【森川】ゲームやスタンプといったコンテンツの売り上げが大きいです。企業広告の要素がある公式アカウントの売り上げはそれほど大きくない。

【田原】他社の話ですが、フェイスブックはどうですか。あそこは上場して、収益化を考え始めたという印象があるんだけど。

【森川】そうですね。僕は筑波大学出身なのですが、フェイスブックを使うと、画面に「筑波大学卒業の方へ」っていう広告が出てきます。僕のプロフィールを見て出してくるわけですが、それって気持ち悪いですよね。ビッグデータの時代になると、行動や属性をマイニングされて、それを収益モデルに活かすことになるのでしょうが、使う側からするとプライバシーが守られているのかどうか、不安が残るでしょう。

経営哲学の源はジャズの即興精神

1985年、筑波大学第三学群情報学類入学。先攻は情報工学。バンド活動に熱中。ジャズバンドを組むなど、音楽活動にのめり込む日々を過ごす。

【田原】フェイスブックのユーザー数は12億人。それに対してLINEがいま4億人。いずれフェイスブックを抜くつもりですか。

【森川】抜きたいなと思います。ただ、闘うという意識はないです。

【田原】それもおもしろい。闘わないで、どうやって勝つの?

【森川】闘うことが目的ではないですから。そこが目的になると、ユーザーの求めるものから離れちゃうじゃないですか。とにかくシンプルに、ユーザーが求めるものをつくり続けるだけです。