室伏広治(ハンマー投げ五輪金メダリスト)

むろふし・こうじ●1974年、静岡県出身。成田高校を経て、中京大学に進学。1997年卒業後、ミズノに入社。同社の国内留学制度にて中京大学大学院に進学。体育学博士号取得後、2011年より中京大学スポーツ科学部准教授。ハンマー投げ競技は高校入学時に始め、在学中に高校記録を樹立。インターハイでも2年生、3年生のときに優勝している。その後も数々の戦績を重ね、2004年のアテネオリンピックでは、ついに投てき競技では日本人初の金メダルを獲得する。13年の日本選手権では19連覇を達成。
オフィシャルウェブサイト
http://www.kojimurofushi.net/

もはや日本スポーツ界の顔である。サクラ満開の4月上旬。2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は、国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ副会長らを迎えた。選手代表として、組織委理事の室伏広治も対応に追われた。

「東京だけのオリンピックではなく、日本中が盛り上がるように、アスリートとして尽力していきたい。これから6年。アスリートとして発言していければいいなと思います」

『アスリート・ファースト(選手第一)』を意識する。やはりオリンピックの主役は、選手たちである。組織委の理事には計8人のオリンピアン、パラリンピアンが就任した。

かつての1964年東京五輪は戦後復興の象徴のオリンピックとなった。今回は「震災から復興」が国内的な課題となる。

組織委の理事会に初めて出席した後、室伏はこう、言った。

「今回は震災からの復興を含めて、何を求めていくことが(人々の)幸せにつながるのか。オリンピックの精神的なもの、肉体的なもの、そのバランスというものが重要だと思います。我々アスリートは、理論でなく、からだで表して、見せていくことが義務だと思います」

余談を言えば、その理事会の席上、森喜朗会長から、「東京オリンピック(出場)を狙っているんでしょ?」と聞かれた。室伏はただただ苦笑いを返すだけだった。

理事会後、改めて、「現役続行」について聞けば、「いや、いや。(可能性が)ないとも、あるとも、言えないですよ。地元のオリンピックで、最高の投てきができたらいいと思いますけど……」。室伏は39歳。6年後には45歳となる。

静岡県生まれ。父親は「アジアの鉄人」ことハンマー投げの室伏重信氏である。母親はルーマニア人。幼少時よりエリート教育を施され、投てき競技の王道を歩んできた。

練習熱心で、まじめな性格。自ら考え、信じ、鍛え抜く。2004年アテネ五輪のハンマー投げで金メダル、11年大邱(韓国)世界選手権でも優勝、12年ロンドン五輪では銅メダルを獲得した。

礼儀正しく、誰からも愛される。ロンドン五輪の際のIOC選手委員の選挙の際、選挙違反で失格となるなどつらい経験もした。「integrity(清廉・品格)」を大事にし、とくにドーピング撲滅を目指している。

20年東京五輪の目標は、「できるだけ多くのメダリストが日本から出ること」と言った。これまでの夏季五輪最多は金メダルは64年東京大会と04年アテネ大会の16個。

「それは、もちろん越えて、多くの方に希望と勇気を与えていってほしい。とくに東北の被災地に届くような」

国際経験が豊富で、語学も堪能である。室伏こそが、今後の日本スポーツ界をけん引するリーダーであろう。