著者である白川静氏は漢字研究の第一人者です。殷、周の時代に用いられた甲骨文字や金文を1字ずつトレースしながら約7000の文字について、変化や原義を調べ上げ、体系的にまとめたのが本書です。生涯を文字の研究に費やした白川さんの取り組みは、静かな挑戦ですが、大いなる挑戦です。本書を読むにつけ、その膨大な量との格闘を推測しては、物事に取り組む姿勢は、かくありたいと感銘を受けます。ページをめくると、そもそもの意味とはかけ離れた文字も多く、読み物としても知的好奇心が刺激されます。私はスピーチの前に本書で関連する文字を調べることがあります。意外な発見がきっかけとなって、話す内容に広がりが生まれます。