やればやるほど、仕事が面白くなった

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北川さんのキャリア年表

私が入社したのは1990年4月、バブル全盛期です。その頃は証券会社というと時代の寵児のような業種で、周りにも証券会社に就職する学生が多数いました。私がこの業種を選んだ一番の理由は、仕事の内容がきちんと評価されやすいと思ったからです。実際はマーケットに左右されて思いどおりにならないことが多かったのですが……。

入社以来ずっと、個人営業を担当してきました。半田支店を振り出しに次が栄支店(現名古屋支店)、新瑞橋支店で営業課長を経験し、小牧支店長、豊田支店長、名古屋支店の営業第二部長を経て、昨年の4月から今のポストです。

最初から長く勤めようと決めていたわけではありません。働き始めてから変化するマーケットに対応するのが面白くなっていきました。また、お客様も1人ひとり求めるものが違い、フォローの仕方も異なってくるので、やればやるほど仕事の奥深さが感じられました。

仕事をする上で何より大切にしていたのは、「お客様が損失を抱えたままではいけない」という気持ちです。マーケットは思うようにはいかないものですし、もちろんお客様に確実に利益を上げていただけるわけではありませんが、「アフターフォローはきちんとさせていただきます」と言い続けてきました。

役員就任を喜んでくれたお客様

お客様との関係が特に深まったのは栄支店時代からです。それまでは値上がりが見込める個別銘柄を中心にご提案していたのですが、この頃からはお客様の運用期間やリスクの許容度などに応じて、お客様の運用資産構成、すなわちポートフォリオのバランスを考えた提案を積極的に行うようになりました。
マーケットが低調な局面が長く、必ずしもいいお返しができたわけではありませんが、お客様に「北川さんに転勤されては困る」と言っていただいたのが仕事への大きなモチベーションになりました。

これは栄支店時代に可愛がって頂いた年配のお客様の話なのですが、昨年、久しぶりにお顔を拝見しに行ったら、私が役員に就任したときの新聞の切り抜きを持ち出してきて我が事のように喜んでくれました。本当に嬉しかったです。私の役員就任はこのようなお客様との関係が土台になっています。

大下明文=構成 山口典利=撮影