教育費の半分以上は、大学に通わせるお金。
高校卒業までを親の役目と言い渡す

教育費に占める金額の半分以上は、大学進学の際にかかるお金だ。国公立に進んでも、4年間で269万円。私立なら528万円かかる。積み上がる教育費を劇的に減らすには、高校卒業までを親の役目と子どもに言い渡し、大学や専門学校に行くお金は自分で何とかしなさいという方法がある。これで半減だ。

しかし、今どき「苦学生」という言葉は死語のようだ。親が突き放したら、がんばるどころか何もしなくなる場合も多いので、なかなか親も荒療治には踏み切れない。今では何から何まで親が出してくれるという大学生があたりまえのようだが、それでいいのか?

すべてを子どもに払わせるのは難しいという場合は、入学金と1年目の授業料は親が払い、あとは奨学金などで工面させることもできる。一人暮らしをして学校に通う場合は、学費か生活費のどちらかは自分で何とかするという負担の仕方もある。自宅の場合は、お小遣いやサークル活動費くらいは自分でアルバイトしなさいといってもいい。

日本学生支援機構の奨学金を借りて、返済が滞るケースが増えて問題になっているので、借りすぎには注意が必要だが、すべてを親がかりで通える子どもと、自分で授業料を工面して通う子どもでは、学ぶ姿勢にも差が出てくる気がするのだが。

「教育費はかければいい」というものでもないので、難しい

とにかく教育にお金をかければいい学校に入れたり、いい仕事につけるとは限らないところが難しい。かえってこれしかかけられないと親がいった家庭の子どものほうが、背水の陣でがんばって勉強や就職活動をする場合も多い。

ひきこもりやニートの家庭のマネープランニングの支援をしているファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんは、「教育費がかさみ、慢性的に家計が逼迫している家庭は多い。余裕がある家庭はいいけれど、余裕がない家庭が同じことをすると、老後の資金不足になるなどのリスクがあります。しかも、“教育費に糸目はつけない”という家庭で育った子どもほど、ニートになりやすい傾向があります」と証言。「お金についての教育を行うのも親の役割。子どもをニートにさせないいちばんの近道です」と続ける。

不登校、引きこもり、非行、いじめ、落ちこぼれ、浪人、留年、就職浪人、ニートなど、教育費をかけても避けることができない問題も多い。

この春、また改めて子どもと向き合っていくことを心に誓い、新学期を迎えよう。

フリーライター 生島典子(いくしま・のりこ)
投資信託の運用会社、出版社勤務を経て独立し、2004年よりライター・編集者として活動。子育て、家計、住まい、働き方などが主な執筆テーマ。好きなことは、出産と住宅ローン。3人の子どもを助産院で出産した経験あり。