図を拡大
図2 1MWのメガソーラー事業の収益モデル

また、通常のパワコンの使用環境温度は最高で40度。夏場ともなると筐体のなかには熱がこもって、パワコンを冷却するためのエアコンが必要不可欠になる。つまり、売電目的で発電しているにもかかわらず、買電をせざるをえないという“自己矛盾”をはらんでいるわけだ。一方、最高60度まで耐えられるSMAのパワコンに冷却装置は不要で、余分な買電をすることもない。

さらに、通常のパワコンの保証期間は10年間。それを超えると壊れやすくなる。図2の収益モデルでも、パワコンの買い替えを前提に10年目のフリーキャッシュフローが例年に比べて2000万円ほど少なくなっているのはそのためなのだ。一方、SMAのパワコンはオプションで20年間の保証がつく。必要最小限のメンテナンスさえしていれば、FITの買い取り期間が終了するまで買い替えが不要になる。

「ケースバイケースだが、同等の競合製品と比較して当社の製品の価格が2~3割高いことは確か。しかし、イニシャルコストとランニングコストの大幅ダウンが可能なことに加え、安定的な売電収入をもたらすことで、初期投資の回収を早められる」と川久保はいう。

(文中敬称略)

(加々美義人、橋口辰也=撮影)
【関連記事】
沸騰!ソーラーバブル「上がる電力料金、もう一つの原因」【2】
4~9%の高利回り!太陽光発電は儲かるか
自然エネルギーだけでまかなえる日はくるのか
制度、予算が大きく動く「被災地ビジネス」
太陽光発電、オール電化……何年で元を取れるか