不足額を補うには貯蓄を増やすしかない。まずは「50~55歳までに住宅ローンを完済し、教育費のメドもつけておくこと」と井戸氏はアドバイスする。リスクが取れるのなら投資も視野に入れる。FPの深野康彦氏も「いま身につけたいスキルは運用力」という。

「仕事には定年がありますが、運用力は一生もの。できれば40代から少しずつ運用力を磨いておきたい」

預貯金の一部を流動性の高い(万が一のときすぐに現金化できる)株式、投資信託、外貨預金や外貨MMFといったリスク商品に投資して「値動き」というものを経験しておこう。

外貨は金利が高い新興国通貨ではなく、基軸通貨として信用されている米ドルがいい。金利はほとんどつかないが、米国の量的緩和の縮小、アベノミクスによる金融緩和の影響でドル高/円安傾向が続くと考えられるため為替差益が期待できる。

14年1月からスタートしたNISA(少額投資非課税制度)を利用すれば、毎年100万円を上限とする新規購入の株式や投資信託の配当金や売買益等が最長5年間非課税になる。「夫婦ともに口座を開設すると、倍のメリットが受けられる」(深野氏)。

目標額は森永氏のアドバイスに従って生活費用に1500万円。それ以上に増やせれば優雅な老後生活が待っている。

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