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図4 30代以上の過半数が「中国赴任を断りたい」/図5 半数近くが「海外赴任に消極的」

その若手に期待したのが海外赴任だが、20代で3割強、30代で5割近くが気が進まないと答える(図5)。とりわけ中国赴任に関しては30代以上の半数以上が拒否感を示す(図4)。

「まだ国内で仕事が探せるので安心感があるのでしょう。お金を持っているベビーブーマーがシルバーマーケットを形成する今後10年は内需があります。でも、その後はわかりませんよ」(高木氏)

日本人の内向き傾向に警鐘を鳴らすのが、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授の石倉洋子氏である。

「海外に目が向く人と向かない人がはっきりと分かれています。国内で十分と考える人は正社員になれれば日本で食べられるし、言葉も不自由がない。病気の心配もあまりないので、あえて海外に行かなくてもいいと思っています」

いったん海外に出たら、いつ連絡がつくかもわからなかった昔ならいざ知らず、今はグローバルな情報網と交通網の発達で海外は近い。にもかかわらず海外に出ないのはもったいないと石倉氏は言う。

「海外に出てみたらひょっとして面白いことができるかもしれませんよ。国内にいたら上がつかえていて楽しい仕事ができないのでは。満員電車に乗ってその先が車庫行きということもありえます」