2014年3月17日(月)

「ネット炎上」が生む破壊的イノベーション

茂木 健一郎:世界一の発想法

PRESIDENT 2014年2月3日号

著者
茂木 健一郎 もぎ・けんいちろう
脳科学者

茂木 健一郎1962年、東京都生まれ。東京大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学博士専攻博士課程修了。理学博士。第4回小林秀雄賞を受賞した『脳と仮想』(新潮社)のほか、著書多数。

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茂木 健一郎 写真=AFLO
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自分のSNSが炎上してもまったくひるまず、逆にプラスに変えられる人はどこが違うのか。(写真=AFLO)

先日テレビの収録で、ある日本を代表する起業家の方とお話しした。その方は、ツイッターなどのSNSなどの利用も盛んで、時折、「炎上」している。

聴衆に「あんなに炎上して平気なのですか?」と聞かれて、その人は、「ぜんぜん平気。慣れちゃっているから」と答えていた。それで、私は、これは大切なポイントだなと改めて思った。

インターネットの登場以前から言われていることは、「実行者」と「評論家」のタイプは違うということである。何かをする人は、とにかくやってしまう。それに対して、「後だしジャンケン」でいろいろケチをつける人は、結局仕事ができない。

会社の中でも、評論家タイプは、あら探しは得意だけれども、実行力がない。評論家が多くなると、会社の活気が落ちる。コンプライアンスは大切だが、その遵守が、評論家タイプを増殖させることになってしまうと元も子もない。

結局、会社も、一つの国も、評論家タイプだけでなく、いかに真っ先に実行していく突破者を増やすかが、成長戦略の鍵となる。そのためには、冒頭に紹介した起業家のように、「炎上上等」の覚悟がある人が、必要なのだろう。

私自身は起業家ではないが、炎上は何回も経験している。その際の時間経過をふり返ると、炎上は、それほど悪いことでもないように思う。

まず、炎上するということは、それだけ世間の関心が高いということである。「炎上マーケティング」という言葉があるくらい、話題にもなる。使い方、対応のやり方によっては、すぐれた宣伝効果もあるだろう。

次に、炎上をきっかけに、社会のさまざまな立場の人たちとコミュニケーションが図れる。その中には、もちろん「アンチ」の人もいるが、反対論者とのやりとりのほうが、長期的に見ればかえって有意義な場合も多いのだ。

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