愛用していた時間手帳。木村さんにとっては、いわば“時間の通帳”。ストップウオッチとともに常に携帯し、「大学受験勉強中の自分を支えてくれる仲間」のような存在だったそう。きれいな文字で記録されているノートからは、木村さんの真面目で几帳面な性格がうかがえる。

特に大事なのは勉強の合計時間です。すべての勉強時間をストップウオッチ(カウントアップ方式)で計ってメモしていました。勉強の時間を記録することの効能は、何より勉強のモチベーションの継続につながること、一日一日、勉強と努力のポイントが着実にためられていくように感じられました。お店で使うポイントカードと同じで、いつのまにか「たまったな」という喜びを味わうことができるのです。

しかも、日々、勉強した分だけ頭脳が進化していると考えれば、そのポイントは複利式の貯金のように雪だるま式に増えることにもなります。達成感だけでなく、実際の自分の成長を数値化して感じられました。私は、このストップウオッチ「のんたん」も、ノートもたぶん、一生捨てることができないと思います。

小学生のお子さんには親御さんが計測して、記録するといいでしょう。そして1週間、1カ月の勉強時間を合計して伝えてあげると、子供の自信につながるはずです。「この1週間で10時間も勉強できたんだよ! 頑張っているね」という具合に。日々漫然とこなしていた勉強の時間が大きな数として確認できるのです。

中高生になると勉強も他人と比較してしまいがち。偏差値やテストの結果などで、友人と比べて、劣等感にさいなまれることも少なくありません。しかし勉強時間を計っていれば、ライバルは「過去」の自分になります。今日1時間勉強したので、昨日の自分より1時間分レベルアップしたはずと思えるわけです。