(PANA=写真)
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福島県知事 佐藤雄平(さとう・ゆうへい)
1947年、福島県生まれ。神奈川大学卒業後、叔父の渡部恒三衆議院議員秘書、参議院議員を経て、2006年の福島県知事選に立候補し、当選。昨年の同知事選で再選。座右の銘は「誠心誠意」。


 

福島第1原発事故は、いまや日本という国の枠を超えて人類が抱える大きな課題になってしまった。菅直人首相のリーダーシップのなさが目立つなか、佐藤雄平福島県知事の指導力や言動に大きな注目が集まっている。

東京電力の清水正孝社長の面会を2度も拒絶。原子力安全委員会が、事故後1カ月以上たってようやく調査委員を福島入りさせたことに苦言を呈した。また原発事故の深刻度が、福島県に事前通告なしに「レベル7」に引き上げられたことに不満を表明するなど、その言動は常にニュースになる。

政府が設立した「東日本大震災復興構想会議」のメンバーだ。だが、佐藤知事は、福島県を後回しにする政府の対応に怒りを抑える日々が続いている。

大学卒業後、叔父にあたる渡部恒三衆議院議員の秘書となり、参議院議員を務めた後、2006年に民主党、社会民主党推薦で福島県知事に当選。昨年の再選時には、プルサーマル計画推進を目指す自民党に「原子力政策の推進」など20項目の政策申入書を提出して推選を受けた。いわば今回の原発事故の責任の一端を担ってもいる。

県のトップとしてやるべき課題はあまりに多い。復興に向け、震災被災者と原発事故の避難民の生活維持はむろん、収まらない風評被害から県民の生活をどう守るのか。その指導力に県民の期待は否応なく集まる。

いまや「FUKUSHIMA」は国内外で放射能汚染の代名詞になってしまった。方向性の定まらない政府の対応が、かえって国民や諸外国の不信感を煽っているといわれるなか、福島県が率先して情報公開するといった決断も必要だ。収束までに半年から9カ月という工程表も実現するかどうかは未知数。未曾有の原発事故から、どう住民を守るのか。佐藤知事の責務は重い。

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