年金とともに気になるのが、医療と介護の分野での負担増だ。図4は厚労省が示した社会保障にかかわる費用の見通しで、2011年に33兆6000億円だった医療関係の給付費は25年に58.6%増の53兆3000億円へ、同じく介護関係の給付費は7兆9000億円から2.5倍の19兆7000億円へ急増が見込まれる。

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図4 急増していく社会保障にかかわる給付額

このうちまず公的医療保険(健康保険)についてだが、保険を運営する「保険者」は勤労者の場合、企業や複数の同業者が集まって運営する「健康保険組合」、中小企業が集まって都道府県ごとに運営する「全国健康保険協会(協会けんぽ)」、公務員や私立学校の職員が加入する「共済組合」などにわかれる。

各保険者によって被保険者が負担する保険料率は変わり、11年度ベースで1964万3000人の被保険者を抱える協会けんぽの全国平均は10.00%で、3年前の8.20%と比較すると1.8%のアップ。そのアップ率は2割を超える。「年収500万円の人の場合、年間の保険料は4万4937円も上昇したことになります」と家計の見直し相談センターの八ツ井慶子さんは指摘する。

すでに家計にとって重い負担になっているわけだが、今後もこの水準の保険料率で収まるのかというと、かなり危うい状況だ。「医療給付費が53兆3000億円に膨らむ25年には、65歳以上の人口が10年時点と比べて約24%も増えると予測されています。その一方で64歳以下の人口は約15%の減少が見込まれていて、一人当たりの保険料負担を増やさないと、現在と同じ医療環境は維持できません。今後も保険料率はアップしていき、健康保険法で定められた保険料率の上限12%に近づいていくでしょう」と藤川さんはいう。

それと同時に見直しが必至と見られているのが高額療養費制度だ。これは一定の負担額の上限を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度で、いま負担額は月収53万円未満の一般の所得者だと「8万100円+(かかった医療費-26万7000円)×1%」になっている。

「高額療養費制度が創設された73年の負担上限額は3万円でした。それが徐々に引き上げられて、93年から6万3600円に、そして06年から現在の水準での運用が始まったのです。この上昇トレンドはこれからも変わらないでしょう。また、窓口での自己負担の割合も、現在の3割でとどまることはなく、近い将来に4割、5割という時代がやってくるかもしれません」と社会保険労務士の北村庄吾さんは警鐘を鳴らす。