サッポロビールは4月、自社で開発・育成した大麦とホップを100%使用した缶ビール「まるごと国産」を発売する。350ミリリットルで、想定小売価格は270円前後。同社の高級商品「ヱビス」よりも高めの設定だ。1都7県のスーパーや酒販店などで5万ケース限定で販売される。発売は4月22日だが、インターネットで数量限定の先行販売も行っている。

原料は、埼玉県行田市産の大麦「彩の星」と北海道上富良野町産のホップ「リトルスター」。どちらもサッポロが十数年かけて改良した品種で、社員自らが栽培、収穫したものだけを使用した国産原料100%という非常にユニークなビールだ。しっかりした麦の味わいとまろやかなホップの香りで、飲み飽きない上品な味に仕上がっている。

このビールが誕生したきっかけは、尾賀真城社長自身がまだ営業本部長だった2011年に出した一通の全社メールだった。「原料から商品開発まですべて社員でやってみよう」という尾賀社長の呼び掛けに、グループ社員から希望者が集まり、『畑からのビールつくりプロジェクト』が始まった。

“世界で唯一の取り組み”を発案した尾賀社長に話を聞いた。

──なぜこのプロジェクトを始めようと思ったのか。

【尾賀】『畑からのビールつくりプロジェクト』を提案したのは、多様化する世界のビールの中で、どのメーカーの商品とも似ていない、独自性のあるビールを出したかったからだ。自社育種、国産原料100%のビールは、「まるごと国産」が世界で唯一だ。

もうひとつの目標は、社内の風通しをよくし、社員全員に同じ目線を持たせることだ。通常は工場、販売、広告宣伝、ITなど、部署ごと、パーツごとに業務を行っており、ともすれば意識が統一されていないこともあって問題だと思っていた。栽培から収穫、ネーミング、販売までの一連の流れに、部署や年齢の垣根を越えていろいろな人間が関わりあうことで、意識改革を図るいい機会になった。