訴訟に勝つと、申立手数料や切手代などの裁判費用は相手方に請求できる。しかし、弁護士費用は自己負担となる。勝訴しても得られる利益が少ないと、持ち出しになってしまう可能性も考えられる。知人間の金銭貸借やアルバイト代の不払いのような少額の金銭トラブルでは、債権者が泣き寝入りを余儀なくされることも少なくなかった。

図4:交通事故、離婚、医療過誤……示談・訴訟にいくらかかる?
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図4:交通事故、離婚、医療過誤……示談・訴訟にいくらかかる?

60万円以下の金銭を請求するのであれば、「少額訴訟」という制度を利用する方法もある。少額訴訟の場合、審理は1回、即日判決である。手続きも簡素化され、弁護士を立てなくても1人で訴訟が行える。

訴訟に比べ費用も安い。請求金額が10万円だと、手数料として納める印紙代が1000円、それ以上は10万円ごとに1000円ずつ加算される。切手代は当事者(原告、被告)が各1名ずつなら3910円。少額の金銭トラブルであれば、通常の訴訟よりも利便性は高いだろう。

ただ、この制度にも弱点がある。相手方にもどの訴訟を選ぶかの権利があり、相手方が不利と判断し、少額訴訟を希望しなければ、通常の訴訟を選択するほかない。また、少額訴訟を利用できるのは、同一の簡易裁判所で年10回(同1年度内)までといった制限もある。さらに、専門家による証拠の鑑定が必要となる複雑なトラブルなどは、少額訴訟で実現できない場合もある。

もちろん、少額訴訟でも通常の訴訟でも、相手方に必ず勝てるという保証はない。敗訴すると、裁判費用はすべて負けたほうが負担しなければならない。

判決に納得ができなければ、「控訴・上告」することになる。第一審裁判所の判決に不服がある当事者は、判決の日から2週間以内に上級の裁判所に対して控訴、第二審(控訴審)も不服なら、さらに上告するという手も残されている。

ここでも裁判費用および弁護士費用がかかる。控訴審を一審と同じ弁護士に依頼して勝訴した場合、一審で勝訴したときに比べ、1.5倍程度の費用がかかる。控訴審を新しい弁護士に依頼すれば、さらに費用がかかることになる。控訴棄却となれば、裁判費用は控訴する側が持たなければならない。

主として金銭トラブルが多い民事事件は、ある日突然、火の粉のように降りかかってくることがある。が、それを振り払わなければ、思わぬ火傷をしかねない。どのような解決方法があり、どのくらいの費用がかかるのか――。思わぬトラブルに巻き込まれ、相手のいいなりにならないためにも、最低限の知識は身につけておきたい。