2014年2月26日(水)

2020年、ユニクロは世界トップの衣料品企業に

PRESIDENT 2013年12月30日号

著者
正田 雅史 
野村證券 マネージング・ディレクター

野村證券 マネージング・ディレクター 正田雅史 構成=プレジデント編集部

2013年8月期、ユニクロ事業を展開するファーストリテイリング(ファストリ)が、日本の衣料品メーカーとして初めて売上高1兆円を超えた。積極的に海外展開を進める同社だが、勝機はあるのか。

衣料品メーカーの栄枯盛衰の歴史は、地域の経済発展と密接に関わってきた。1990年代後半に躍進したのが米国発のGAPだ。背景には情報革命で世界を席巻した米国の発展があった。その後、主役となったのがZARAなどを展開するスペインのInditexとスウェーデンのH&Mである。00年代以降、EUは加盟国を拡大する。その時流にうまく乗ったのが、両社であった。

10年代に入り、世界の成長ドライバーはアジアを中心とした環太平洋地帯に移行しつつある。特にASEANはグローバルブランドの未開拓市場であり、成長余地が大きい。家賃が安く、出店コストを抑えられるメリットもある。

地理的要素を含め、現在、最も有利な位置にいるのがファストリだ。すでに投資収益率では世界最高水準。15年度に売上高でGAPを凌駕し、将来、業界2位のH&Mや最大手のInditexに匹敵する規模になる可能性は十分ある。

一方、課題もある。3つ挙げたい。

1つは国内事業の採算悪化だ。昨年度、客数は増えたものの、値引き販売の期間を延長するなどし、客単価が下がった。現在、カシミヤやシルクなどの自然素材を投入し、高付加価値商品の拡充を急いでいる。

2つ目は、物流、生産体制の見直しにある。これまでは外部委託が中心だった。今後は自社運営を強化することで、売れ筋商品を追加生産したり、売れない商品の生産をすぐに中止できる体制を整備することが必要だろう。

3つ目は、ローカライズだ。同社は東京・ニューヨークを拠点とするR&Dセンターを強化し、全世界で売れる商品の開発を進めている。その一方、客層の体形や土地の気候に合わせ、現地にカスタマイズした商品を拡充することも求められよう。

同社の経営陣は戦略を修正し、進化させる能力が極めて高く、先の課題についても解決に向けてすでに動き出している。東京五輪が開催される20年には、世界トップの衣料品メーカーとなっている公算が大きいだろう。

PickUp