【第7の鉄則】言葉以外の動作「非言語表現」のフル活用

ここで、言葉以外の動作にも注目です。まず1点目に、右手で軽い握りこぶしをつくり、左胸に置いて「誓い」の言葉を言う動作を、数人のプレゼンターが使いました。これは、約束や誓いを表す「表象動作」(エンブレムズ)です。胸に手を置いて何かを伝えるだけで、「約束しました」「誓いましたよ」「祈ります」というシンボルになります。

2点目は、安倍首相の「(状況は)制御されている」(アンダー・コントロール)と言いながら、両手のひらで水面を下に押しつけるような動作をしたことです。「ちゃんと押さえ込んでいる」という言葉を、この動作によって補強したのです。

これをパフォーマンス心理学では、「補助動作」と呼びます。この補助動作を上手に使うと、言葉の意味が強まるのです。

3番目が、滝川クリステルさんおなじみの「お・も・て・な・し」といってからの合掌です。

この合掌には賛否両論あり、「日本人の合掌はあんなに腕を水平にしないから、あれはタイ式だ」とも話題になりましたが、祈りの気持ちをシンボリックに示したかったのでしょう。これも「表象動作」です。

【第8の鉄則】スマイルの効果

笑顔は、言葉が伝わらなくても自分の意思が相手に伝わっていく、最強の「非言語表現」です。

今回のプレゼンでは、公用語の英語やフランス語を上手に使ったことも有効な武器でしたが、何よりの「無言の言葉」は、全員がスマイルを意識して使ったことです。

私の実験室でのスマイルの主な効果は、次の3点です。

○相手の警戒心を解く
○親密感を与える
○相手のやる気を喚起する

はじめの2人のスピーカー(高円宮妃さま、佐藤選手)はもちろんとして、普段はあまり笑顔がなさそうな男性陣も、しっかりスマイルを採用していました。