生産拠点といえば海外立地が半ば当然だった時代は終息しつつある。日本政府、各自治体の多様な誘致努力に円安傾向なども加わって、国内立地が見直されているのだ。チャイナプラスワンの有力候補としても、国内の地域を再評価すべき時が来た。

企業の景況感は好転し
国内への投資意欲も旺盛に

昨年12月、日銀が発表した日銀短観では、企業の景況感を示す業況判断指数が明るい数字となった。まず大企業は、製造業・非製造業ともプラスで、4四半期連続の改善。さらに、中小企業も製造業・非製造業ともプラスとなり、うち非製造業のプラスは、なんと1992年以来のことだった。

アベノミクスに対しては、実体経済への効果の程度や、恩恵が行きわたる範囲を疑問視する声も多かった。しかし、ようやく日本経済は全体として一歩ずつ前進しつつある……そう期待させてくれる材料がほかにも現れ始めている。

日本政策投資銀行による「全国設備投資計画調査(大企業)」もその1つである。これは同行が2013年6月に実施した調査で、2012~14年度の設備投資計画を尋ねている。

調査結果によると、大企業(資本金10億円以上)の2013年度国内設備投資額は、製造業・非製造業とも増加し、全産業で10.3%増と2年連続の増加となった。海外設備投資のほうが増加の幅はより大きいものの、製造業の中期的な生産能力見通しに関しては「国内減少を伴う海外強化の比率が若干低下」した(海外投資を増やしても国内投資は減らさない)ことが注目される。同行は、「2008年以降の円高は海外シフトを加速させたが、12年末からのマクロ環境の好転などにより、国内の供給能力についての企業の姿勢にわずかだが変化が生じている可能性がある。なお、国内生産を維持する理由として、引き続き国内需要の存在に加え、技術・商品開発基盤、高い生産性、人材、サプライチェーンが挙げられている」と分析している。

各地の工場立地も
堅調な動向を見せる

実際のところ「平成25年上期工場立地動向調査結果(速報)」(経済産業省)でも、25年上期の工場立地件数は782件(前年同期比316件増、67.8%増)、工場立地面積は2662ヘクタール(同1950ヘクタール増、273.6%増)と増加した。大幅増の理由は、太陽光発電を目的としたメガソーラー(電気業)の立地にある。メガソーラーを除くと立地件数は353件、立地面積は426ヘクタールだった。1年単位で振り返ると、24年下期~25年上期の1年間は、メガソーラーを除く立地が計857件。その前の1年間(23年下期~24年上期)が計889件、さらに前の1年間が計830件と、おおむね横ばい傾向にある。

発電事業、その周辺事業の誘致は各地で進んでいる。また、自治体が自らメガソーラー事業の運営に参画することで、収益を上げる例も見られる。地域にとっては企業誘致と並んで内発型の産業振興が積年の課題だが、これからは再生可能エネルギー事業が課題解決のカギとなるかもしれない。そこに外部資本を呼び込んだり、関連分野の企業を誘致したりする動きにつなげることもこれまで以上に考えられるだろう。